改正民法によって住宅のトラブル解決に関して選択肢が増えたことは、お客様にとって有益なことです。
しかし、同時にお客様との交渉がより複雑になることも予想されます。そのため、ポイントを押さえておくと、トラブルが発生した際にスムーズに対処できるでしょう。
この記事では、改正民法によって請負契約がどのように変わったのか改めてお伝えしたいと思います。
これまでの住宅瑕疵の請負人の責任とは
民法改正前には、引き渡した住宅に瑕疵が見つかった場合に建て主は住宅会社に対して「修補」か「修補に代わる損害賠償」、「修補とともにする損害賠償」 のいずれかを請求する権利が存在しました。
これは、「瑕疵担保責任」と呼ばれていたものです。建物を引き渡した後の請負人の責任になります。
改正民法では、「瑕疵」という法律用語が廃止されました。変わって「契約不適合」という考え方が登場しました。
ちょっと乱暴な考えですが、契約書に「瑕疵」があれば改正前の契約書
「契約不適合」とあれば改正後の契約書と推測できる気がします
請負契約にも売買契約の規定を準用するとしたため、売買契約で規定された契約不適合という文言を請負契約でも使うことになったわけです。
契約不適合に該当するのは、「引き渡された目的物が種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しないものであるとき」となります。
建て主は住宅会社に対して権利を行使できます
- 追完(修補)請求: 契約に適合するように修補を求める権利
- 代金減額請求: 住宅の不十分な部分を金銭で補わせる権利: 住宅会社に帰責事由がなくても請求できます
- 損害賠償請求: 住宅会社に帰責事由がある場合にのみ請求できる権利: 修補請求せずに請求することが可能です
- 契約解除請求: 建物その他の土地の工作物が契約目的を達成していない場合に請求できる権利
つまり改正民法では従来の請求に、「代金減額請求」と「契約解除請求」が新たに加わったことになります。
4つの請求権を使用した住宅のトラブルを解決する方法は?
早めの対応・・・
もし住宅会社が履行不能や履行拒絶を主張して手直しや補修を行わなかった場合、建て主には代金減額請求権が発生します。
これは引き渡された住宅の不十分な部分を金銭で補わせる権利ということになり、住宅会社に帰責事由がなくても請求できます。
追完や代金減額の請求権とは別物です。
損害賠償請求は、改正民法で一般の債務不履行の規定によることとなったため、無過失責任である瑕疵を原因とした従来の損害賠償請求と異なり、建て主が請求するには、住宅会社に帰責事由があることが必要となりました。
契約解除は、住宅会社の帰責事由がなくても建て主が請求できます。従来も住宅が完成するまでは可能ではありましたが、改正民法では完成後も請求できるようになりました。「建物その他の土地の工作物は、瑕疵で契約目的を達成していない場合でも契約解除できない」との規定が削除された事が理由です。
改正された民法が請負契約に与える影響を説明いたしました。
状況によっては完成後も契約解除が出来てしまいます。
引き渡しが終了するまで気が抜けません。
さらに引き渡し後も、アフターフォーローしていくことで、次の受注に繋がっていくことと考えています。
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